バックナンバー 2001年 11月号


  2001年11月の「今月の一枚」は『初秋』です。

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2001年10月:『月見山風景』  2001年9月:『孔雀』


 1919年に東京美術学校を卒業した鈴木は、1922年まで研究生として同校で研鑽を積んでいました。この時期に描いた『初秋の丘』を第3回帝展(1921年)に出品し、これが初入選作となります。以来、第8回(1927年)を除く第15回(1934年)帝展まで毎年入選を果たし、1937年には改組された新文展の無鑑査に選ばれます。今月の一枚にとり上げた『初秋』は、この第1回新文展に招待出品した作品です。
 鈴木は1933年に移り住んだ神戸市須磨区月見山町の自宅の庭で、妻・八千代(当時31歳)と長男・藍作(当時4歳)をモデルにしてこの作品を描き上げました。原画は横長100号のカンヴァスに描かれていたのですが、後に自宅の転居に際して鈴木が作品の中心部だけを切り取ったために、今日見るような縦長の画面になりました。この際、原画に描かれていた犬と絵具箱のほか、 左下の「昭和11年 清一」の署名も失われてしまいました。
 なお、鈴木は切り取ったカンヴァスを丸めて保管していたために、絵具の一部に亀裂と剥落が発生するなど、相当な損傷を受けていました。このため、先般の『鈴木清一回顧展』の開催に併せて改修が施されました。

では、清一の描いた原画、切り取られた後、回顧展のために修復された後と、3枚の『初秋』ご覧ください。


『初秋』原画

原画。妻・八千代と妻の膝に抱かれる長男・藍作。
傍らの犬と絵具箱、左下にある「清一」のサインに注目。



 修復前
修復前。傷みが目立ちます。
修復後。


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