このページでは、鈴木清一の作品を毎月一点づつ取り上げ、作品にまつわる話題などとともにご紹介していきたいと思います。
このページについてのご意見やご質問、あるいは関連情報などをお待ちしています。
バックナンバー
2003年最初は『小菊』(1978年)を取り上げることにします。
![]() |
|
|
小菊は清一がもっとも好んで描いたモチーフのひとつで、現在までに所在が分かっているものだけでもおよそ50点の作品があります。これらの中でこのF12号の作品は清一最晩年の傑作と言うべきもので、昨年6月にご紹介した『舞子の松』と同様に、絵の具が非常に厚く塗られており、何度も試行錯誤を繰り返した苦心の跡が感じとれます。『小菊』のカンヴァスは額縁から外した重さが2.3kgもあります。通常の塗り方をしたF12号のカンヴァスの重さはせいぜい0.6〜0.8kg程度ですから、この作品がいかに厚塗りされているかを想像できるでしょう。
清一の創作意欲をかき立てた花には、小菊のほかに紅椿、水仙、リンドウなどがあり、また、アザミやドクダミなどの草花も草木染めのデザインにしばしば登場します。いずれもわたしたちの身近にある野生の花ばかりで、決して豪華絢爛とした高級な花ではありません。これは家計が貧しかったためというよりは、むしろ人手がかかっていない自然のままの花こそ、彼がもっとも好んだからだと思います。
清一は自然を愛する画家でした。草木や花の名前に通じていただけでなく、季節の移り変わりにつれてどんな花が咲くのか、花や実や樹皮などを草木染めに使うとどんな色が出せるのか、万葉集の中ではどんな草花がどんな風に詠まれているのかといったことから、どんな野草をどんな風に料理すれば美味しく食べられるのかなど、いろいろなことに関心をもち、また本当によく知っていました。
彼は次のような手記を残しています。
彼は単に美術の授業を担当していただけでなく、放課後には美術部の指導をするとともに、教職員たちにも絵の指導をしていました。
|
![]() |
|
|
![]() |
|
|
![]() |
|
|
![]() |
|
野草のてんぷらの作り方を指導する清一 (1965年4月、神戸市北区唐櫃) |