このページでは、鈴木清一の作品を毎月一点づつ取り上げ、
作品にまつわる話題などととしていきたいと思います。
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▲鈴木清一作『芙蓉』(1961年ごろ) 油彩・紙、28.5x37.8cm、個人蔵(横浜市) |
清一は、親しい知人や友人のところにお祝い事があると、小さな絵を贈ることがよくありました。この作品も彼が木曜会の会員の結婚祝いに贈ったものです。 夏の強い陽射しの下で鮮やかに咲くピンク色の芙蓉の花と緑色の葉が作るコントラストが見事に描かれています。この絵を壁に架けただけで、部屋の雰囲気が急に明るくなりそうです。
彼は1957年から65年までの8年間、神戸市葺合区(現中央区)中尾町の借家に住んでいました。今から40年以上も前のことになりますが、この家の庭先に芙蓉の花が咲いていたのを思い出します。
アトリエの窓から芙蓉の花を眺めているうちに、絵心を刺激された彼はすぐに庭に出て、この絵を描いたのでしょう。少しづつ構図が異なる作品が、今までに数点見つかっています。
ピンク色の花が次から次へ咲き続ける芙蓉は、代表的な夏の花です。
植物図鑑によれば、芙蓉は木槿(ムクゲ)やハイビスカスと同じアオイ科の仲間ですが、ムクゲが中国原産、ハイビスカスが東南アジア原産であるのに対して、芙蓉はれっきとした日本原産の花とあります。また、芙蓉には珍しい品種もあって、朝のうちは白い花なのに、夕方になるとだんだん赤くなる「酔芙蓉」というのがあるそうです。わたしはまだ見たことがありませんが、花を酔客に見立てたところが面白いと思います。真っ昼間からお酒を飲んでいるというわけです。
ところで、辞書で調べてみると、芙蓉というのはハスの花の古名なんだそうです。
美人の顔を表現するのに「芙蓉の顔(かんばせ)」というのがありますが、ハスのように美しい顔という意味だそうです。
また「芙蓉の眦(まなじり)」とはハスの花のように美しい目元をいうそうです。
「芙蓉の...」と名前を呼ばれながら、肝心のいいところをハスに横取りされてしまうのでは、芙蓉がちょっと可哀想ですね。