2005年 11月号


このページでは、鈴木清一の作品を毎月一点づつ取り上げ、
作品にまつわる話題などととしていきたいと思います。

※今月までのバックナンバーは、ページの最下段をご覧下さい。


今月は『秋の渓流』(1970年ごろ) をご紹介いたします。


▲鈴木清一作『秋の渓流』(1970年ごろ)

油彩・色紙、27.3x24.2cm、筆者蔵


今月の作品は岩場を流れる渓流と鮮やかな紅葉をモチーフにした清一晩年の作品です。彼はこの作品に画題を付けていないのですが、ここでは『秋の渓流』としておきます。場所は六甲の山麓付近なのでしょう。

神戸の市街地を北へ向かって坂道を登って行くと、だんだんと人家がまばらになり、やがて裏山の中へと分け入ります。晩秋の静けさの中で水音が聞こえてきます。数日前に降った晩秋の雨で水嵩を増した小川の水が、小さな滝となって岩場を流れ落ちています。

清流が立てる白い水泡と、形の良い大小の褐色の岩に対して、ハゼノキと思われる紅葉の朱色が、画面を引き締める重要な役割を演じています。岩と滝と紅葉のそれぞれが主役でありながら、それぞれが相互に譲り合って絶妙の安定感を醸し出しているように思われます。

ここに描かれているのは、六甲の山麓付近でごく普通に見られるもので、決して絵はがきになるような光景ではありません。しかし、こんな平凡な光景でも、いったん清一の眼に留ると、こんなにも穏やかで豊かな作品になるのでしょう。原画を見なければ、2〜30号ぐらいの作品に思われるかもしれませんが、実際は小さな色紙に油絵具で描かれたものなのです。

もう一度、この作品をゆっくりとご覧ください。清らかな水音が聞こえてきませんか?


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