※今月までのバックナンバーは、ページの最下段をご覧下さい。
![]() |
|
▲写真1. 鈴木清一作『小菊』(1940年) 油彩・板, 47.0x57.0cm, 個人蔵(明石市) |
今年の6月に
『孤高の画家・鈴木清一の作品と生涯』を出版したことがきっかけになって、清一の作品が1枚見つかりました。
6月末のある日「明石市に住むご婦人から美術館に電話があり、『1940年 鈴木清一』と書かれた菊の絵を持っているとのこと。調べれば作品のゆかりが分るかも知れません」という連絡を兵庫県立美術館のY学芸員からもらったのです。
さっそくわたしはそのご婦人に電話をして、作品を見せていただくことになりました。1940年(昭和15年)というのは、清一の最後の個展となった「鈴木清一油絵展」が神戸画廊で開かれた年です。ひょっとすると、この展覧会に出品した作品のひとつなのかも知れないと、わたしは胸を弾ませながらご婦人のお宅へと急ぎました。
作品は居間のいちばん目に付きやすい場所に掛けられていました。鮮やかな色彩の小菊の絵です(写真1)。保存状態はきわめて良く、とても70年近くも昔に描かれたものとは思えないほどでした。額を壁から外して裏を見ると「文展無鑑査
鈴木清一 小菊 1940」と書いた神戸画廊の小さな札が貼ってありました(写真2)。わたしの想像があまりにも見事に的中したので、ビックリしてしまいました。
|
|
||||||||||||
| 小菊は清一が好んで取り上げたモチーフで、本サイトでも最晩年の『小菊』(2003年1月号)をご紹介していますが、戦前の作品を見る機会は今までほとんどありませんでした。ご婦人のお話によると、この絵は1955年ごろにお知り合いの方からもらったもので、花がお好きな彼女はこの絵をとても気に入っていて、鈴木清一とはいったいどんな画家なんだろうとずっと思い続けていたところへ、新刊書の新聞広告(写真3)が目に留まり、急いで県立美術館に問い合わせたのだそうです。 清一は1939年と1940年の2回、「鈴木清一油絵展」(『山百合』(2004年8月号) を参照)を開いていますが、このご婦人のお知り合いの方は、1940年12月に開かれた展覧会でこの作品を買い求めたのでしょう。 それにしても、考えれば考えるほどわたしは幸運に恵まれていたと思います。もしもこのご婦人が鈴木清一という画家について興味を持っていなかったら、もしも彼女が新聞広告に気付いていなかったら、もしも彼女が美術館に電話を掛けていなかったら、もしも電話に出た美術館の学芸員がわたしのことを知らなかったら、わたしがこの絵を見る機会はおそらく永遠になかったでしょう。 わたしは父の作品を大切にしてこられた彼女への感謝を込めて拙著を一部謹呈し、作品の写真をカメラに収めてから爽快な気分で家路につきました。 |
|||||||||
鈴木清一の作品や作品に登場する風景などにお心当たりがおありの方は、メールにて詳細をお知らせください。
ご連絡を下さった方には清一の絵画作品絵はがき(6枚セット)を差し上げます(絵はがきの送付先、お受取人様のお名前も併せてご記入ください)。
info@suzuki-seiichi.com