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2007年 10月号


 


鈴木清一作『静物』(制作年不詳)
油彩・カンヴァス、38.0x45.5cm、個人蔵(三木市)





 茶褐色に塗られたバックの中に、柘榴(ざくろ)と柿と栗と洋梨を乗せた白い皿がくっきりと浮かび上がっています。鮮やかに色づいた柿と柘榴が見事に画面を引き締め、右手前の黄色い洋梨が絶妙な安定感を生み出しています。

 清一が講師を務めていた木曜会(三菱重工神戸造船所の絵画同好会)の元会員だったYさんから伺った話によると、1979年5月に彼が清一のアトリエを訪ね、清一からこの作品を譲り受けたのだそうです。その2か月後に清一は脳血栓で倒れました。制作年は確定できませんが、おそらく最晩年の作品なのでしょう。
 秋は清一が好きな季節でした。とくに秋の果物は繰り返し描いており、この「今月の一枚」で『染付け皿と秋果』(2003年10月号)『ぶどうと西洋梨』(2004年10月号)『ぶどうと桃』(2005年8月号)『秋果』(2006年11月号)をすでにご紹介しています。また、油彩画だけでなく水彩画にも描いており、入院中の友人に送った絵手紙にしばしば登場します。 


    ▲鈴木清一作『柘榴』(1967年)
   水彩・はがき、個人蔵(長岡京市)

鉢植えの柘榴が去年4つの小さい実をつけた。それが年を越してまだつやつやした色です。縁側で冬陽をあび、各々の姿をしてぶら下がっている。お見舞いに描いてみた。ご大事に。清一

 

    ▲鈴木清一作『柿』(1967年)
   水彩・はがき、個人蔵(長岡京市)

今日は久振りの雨、木をぬらし石をぬらす静かな雨降る庭をながめていると、こころ自ら和む心地、静子さんからのお便りで貴兄の快方に向いつつある趣拝承、嬉しい限り、なお一層御自愛御養生程祈上げます。

 

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2007年

 

9月:『森』
8月:『冬の赤松』
7月:『静物』
6月:『新楼の家』
5月:『冬の海』
4月:『初秋の丘』
3月:『蘭』
2月:『横臥する裸婦』
1月:『耕三生後八か月』

 
2006年 2005年

12月:『水戸桜山の秋』
11月:『秋果』
10月:『小菊』
9月:『小屋』
8月:『静岡風景』
7月:『海岸の風景』
6月出版のご案内
    『孤高の画家・鈴木清一の作品と生涯』
5月:『明石城址』
4月:『青い花瓶の水仙』
3月:『戦前の旧居留地風景』
2月:『室津の梅』
1月:『雪の月見山』

12月:『神戸山手風景』
11月:『秋の渓流』
10月:『天王山農場本館』
9月:『芙蓉』
8月:『ぶどうと桃』
7月:『街頭スケッチ』
6月:『六甲風景』
5月:『若葉の明石公園』
4月:『神戸山手風景』
3月:『神戸メリケン波止場』
2月:『水戸県庁前堤の並木』

1月:『青いリボンの少女』
2004年 2003年
12月:『山本五十六元帥の生家』 
11月:『月見山晩秋』
10月:『ぶどうと西洋梨』

9月:『中之島公園』
8月:『山百合』
7月:『丹頂鶴』
 
6月:『月見山の家の 庭』
5月:『舞子の風景』

4月:『鬼塚貫一氏 像』
3月:『倉敷の家』

2月:『早春』
1月:『自画像』
12月:『少女』 
11月:『秋深まる』 
10月:『染付け皿と秋果』
9月:『窓からの風 景』 
8月:『石廊岬』
7月:『婦人像』
6月:『水戸弘道館』 
5月:『布引の新緑』
4月:『山ざくら』
3月:『水仙』

2月:『早春の六甲』
1月:『小菊』
2002年  2001年
12月:『根室原野の鶴』
11月: 『筑波山』 
10月: 『篠原本町の庭』   
9月: 『八千代像』  
8月:『九歳の八千代』  
7月:『会下山風景』
6月:『舞子の松』
5月:『赤い本』

4月:『菊池辰重氏像』
3月:『代々木風景』
2月:『春のうた』
1月:『雲と牛』
12月:『天王山農場』
11月:『初秋』

10月:『月見山風景』
9月:『孔雀』

 


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