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2009 年4月号 
第9巻 第4号 (通巻第92号)
橋本邦助氏像



鈴木清一作 橋本邦助氏像

▲鈴木清一作「橋本邦助氏 像」(1930年頃),
茶コンテ・紙, 36.0x28.0cm, 筆者蔵


茨城県出身の洋画蒐集家・跡部操(1876〜1945)に招かれて、清一が神戸へやって来たのは1930年1月のこ とだったと思われます。最初は神戸に長逗留する気持はなく、なるべく早く東京へ戻りたいと考えていたようです。ところが、跡部の自宅アトリエで絵を描いて いるうちに、なぜか彼は東京へは戻らず、1931年3月には水戸から八千代を呼び寄せて結婚し、1979年11月に84歳で亡くなるまでの44年間を神戸 で過ごすことになったのでした。

『今月の一枚』(2002年7月号)の 「会下山風景」でご紹介したように、跡部は幕末の水戸藩士・武田耕雲斎の孫に当り、神戸と東京でアトベ精肉店を経営して財を成した人で、和田三造の作品を中心とした「跡部操 コレクション」は全国的にもよく知られていました。

清一が神戸へ来たときには、跡部の自宅には画家の橋本邦助(1884〜1953)がすでに滞在していました。橋本は栃木県の出身で、東京・溜池洋画研究所を経て東京美術学校西洋画科に入学、1903年に同校を卒業した、清一の先輩に当たる画家でした。彼は家人に行先を告げずに行方をくらましていたと言われて いますが、跡部の自宅には実に5年もの長期間滞在していたことが分かっています。

1930年1月に神戸三越で開かれた「跡部操洋画コレクション展」には、岡田三郎助、和田英作、和田三造、黒田清輝、藤島武二、満谷国四郎、金山平三、中沢弘光、梅原龍三郎、安井曾太郎、新井 完、南憲造らの作品とともに、橋本と清一の作品も出品されています。また、翌年1月にはアトベ・アトリエでこの二人の最新作を集めた「橋本邦助・鈴木清一 作品展」が開かれています。清一のこのデッサンは、彼が跡部の自宅に滞在していた1930年から1931年にかけて描かれたものです。当時の橋本は46歳で、清一は35歳でした。

「橋 本邦助・鈴木清一作品展」会場での記念写真(1931年1月、神戸三越)、筆者蔵
後列左から二人目に橋本邦助、一人おいて跡部操、清一、前列左端に八千代、中央に跡部夫人
画面右手前に清一の「孔雀」(『今月の一枚』2001年9月号)が見える


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