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2009 年5月号 
第9巻 第5号 (通巻第93号)
雉 子(きじ)



鈴木清一作 雉子(きじ)

▲鈴木清一作「雉子」(1946年頃 ?), 油彩・カンヴァス, 33.7x48.4cm, 筆者蔵

父の遺品の中からこの絵を見つけたときに、わたしは「ああ、これだ、これに間違いない」と、あの日のことを懐 かしく思い出しました。それは戦後間もない1946(昭和21)年頃のことだったように思います。その日の夕方近くに、月見山の自宅玄関先で「先生、雉子 を撃ってきました!」という威勢の良い大きな声とともに、一羽の立派な雄の雉子を届けてくれた人がいたのです。

当然のことながら、清一の静物画のモチーフとして届けられたのでしょうが、何しろ食べるものが容易には手に入らなかった大食糧難時代のことですか ら、思いがけない贈りものに家族全員が小躍りしたに違いありません。贈り主がどこのどなただったのか、幼かったわたしには分かりませんが、その日の夕食に 食べたことははっきりと覚えています。ところが、父がこの絵を描いていたことをわたしはまったく知りませんでした。芸術より食欲だったのです。

1947(昭和22)年3月に、日本鳥学会は雉子をわが国の国鳥に選定しています。選定の理由としては、雉子が日本固有の野鳥であること、渡り鳥で はなく本州・四国・九州で年中見ることができること、雄は優美で力強いこと、大きくて狩猟の対象に適しており肉が美味であること、桃太郎にも登場し子ども にもなじみがあること、雌は山火事が巣に迫っても卵や雛を守り母性愛の象徴のようにいわれることなどが挙げられたようです。もっとも、国鳥を食べるという ことについていささかの抵抗はありますが ... 。

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