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2009 年6月号 
第9巻 第6号 (通巻第94号)
筍(た けのこ)



鈴木清一作 筍(たけのこ)

▲図1. 鈴木清一作「筍」 (1967年), 油彩・カンヴァス片, 21.1x27.0cm, 筆者蔵

1967年1月に清一は、水戸中学時代からの親友で京都に住む原田誠一郎さんが交通事故で入 院したという知らせを受けました。さっそく病院へ見舞いに行った清一は、その日から毎日のようにはがき絵の見舞い状を送り、一日も早い回復を祈って彼を励 まし続けました。季節の花だより、懐かしい水戸の風景、旅の思い出、身の回りの品々など、清一から届くはがき絵の便りを彼は病院のベッドで心待ちにしてい ました。

原田さんは友人の暖かい心遣いに深謝し、清一の好物である京都の筍を送ったところ、彼がさっそく絵筆を執って描い たのがこの「筍」でした(図1)。ほとんど茶色の絵具だけで描いたこの作品には何とも言えない味わいがあり、じっと眺めていても飽きることがありません。 もちろん、清一はすぐに原田さんに筍の絵手紙を送りました(図2)。


▲図2. 鈴木清一作「筍」 (1967年)
水彩・官製はがき, 21.1x27.0cm, 個人蔵(京都府)
さくらが散り山吹が咲き
たけのこがうまい季節になった。
たけのこがいいのか、料理がいいのか、
とにかく関西へ来てそのうまみを知った。
こうして兄に葉がきを書いていると、
季節のうつり変わりは早いね。

病気療養中に水彩画を始めた清一の妻・八千代もこの筍を丹念に描 いています(図3)。清一は八千代が描いたこの作品を絶賛しました。妻 の死後、彼はこの作品を含む6点の妻の作品を原色版に印刷し、葬儀参列者へのお礼状に添えたのでした。




▲図3. 鈴木八千代作「筍」(1969年)
水彩, 紙, 33.2x40.8cm, 筆者蔵

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