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2009 年8月号 
第9巻 第8号 (通巻第96号)

長崎眼鏡橋




▲図1.鈴木清一作「長崎眼鏡橋」 ( 制作年不詳), 水彩・紙、25.5x34.3cm、筆者蔵  

このスケッチ (図1) には場所も日付も入っていませんが、有名な長崎の眼鏡橋を描いたものであることに疑問の余地はありません。この橋は長崎市の中心部を流れる中島川に架かる 石橋の一つで、二つのアーチが川面に映って眼鏡のように見えることから、眼鏡橋と呼ばれるようになったと言われています(図2)。

▲図2. 長崎眼鏡橋 川面に映るアーチの影のために眼鏡のように見える

眼鏡橋のたもとに立てられた観光案内板には、橋の由来が次のように記されています(図3)。

眼鏡橋 めがねばし
栄町 - 諏訪町
国指定重要文化財(昭和35年2月9日指定)

 中島川の第10橋。わが国最古の石造アーチ橋で、寛永11年(1634)興福寺唐僧黙子禅師によって架設された。
 黙子禅師は中国江西省建昌県の人で、寛永9年(1632)に日本に渡来したが、石橋を架ける技術指導者でもあったようである。しかし、この眼鏡橋は、正 保4年(1647)6月の洪水で損害を受け、慶安元年(1648)平戸好夢によって修復がなされた。川面に映つるその姿から、古来より"めがね橋"の名で 長崎の人たちに親しまれていたが、明治15年に正式に眼鏡橋と命名された。

▲図3. 眼鏡橋の由来を記した観光案内板

と ころで、清一は一体いつ頃このスケッチを描いたのでしょう。清一のスケッチ(図1)には、川の両岸に住宅のような小さな建物が密集して描かれていますが、 最近の写真(図2)にはこのような建物は姿を消し、大小さまざまなコンクリート構造の建築物が周囲を席巻しています。とくに画面左奥には大きな高層住宅が 見えています。このような都市景観の劇的な変化は、1950年代後半に始まるわが国の高度経済成長によって全国各地にもたらされたものです。詳しいことは 分かりませんが、おそらく長崎市にも1960年頃までには都市開発の波が押し寄せていたのでしょう。このように考えると、清一のこのスケッチは1960年 より以前に描かれたものと考えるのが妥当でしょう。

このスケッチをご覧になって何かお気付きになられた方は、本サイトの掲示板、あるいはメールでご連絡いただければ幸いです。

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