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2009 年9月号 
第9巻 第9号 (通巻第97号)

秋立つ」(1939)



 
▲鈴木清一作「秋立つ」  (1939年)、油彩・カンヴァス、行方不明

「秋立つ」という画題がついたこの作品は、今からちょうど70年前の1939(昭和14)年に開催された第3回文部省美術展覧会(新文展)に招待出品され ました。2年前に始まった日中戦争(当時は支那事変と称した)は終結の目処すら立たないまま、7月にはアメリカから日米通商航海条約を破棄するとの一方的 通告を受け、ヨーロッパでは9月にドイツ軍がポーランドに侵攻して第2次世界大戦が始まるという将来への不安が募る年でした。それでも清一の暮らしは未だ 平穏な状態が続いていました。毎年、秋の新文展に招待出品していましたし、春秋の兵庫県美術家聯盟展にも出品を続けていました。清一がはじめて個展「鈴木 清一油絵展」を神戸画廊で開いたのもこの年のことでした。

 夏が終わりに近づき、そろそろ秋の気配が漂い始めた頃に、須 磨・月見山の庭の片隅に咲く草花を描いた作品です。画面右に描かれた3本の背の高い草花はモミジアオイ(紅蜀葵)です。その左側のアゲハチョウがとまって いる花はジニア(百日草)で、左端には鮮やかな葉のコリウス(金襴紫蘇、錦紫蘇)が描かれています。

「秋立つ」の原画は行方不明になっています。1954(昭和29)年の転居に際して、清一の手で処分されてしまったのかも知れません。この白黒写真は絵は がきから複写したもので、色がついていないのが残念です。でも、わたしはずっと後になってこの絵を月見山の清一のアトリエで見た覚えがあります。80号ぐ らいの大きさだったように思います。もう記憶が定かではありませんが、赤いモミジアオイの花や、黒と白のアゲハチョウ、青い空にぽっかりと浮かぶ白い雲な どをかすかに覚えているような気がします。

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