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2009 年10月号 
第9巻 第10号 (通巻第98号)

晩秋」(1970年代)



 
▲図1. 鈴木清一作「晩 秋」 (1970年代)、油彩・色紙、筆者蔵

この小品に描かれている赤い南京はぜの落葉と白い小菊は、いかにも晩年の清一が好んで描きそうなモチーフです(図1)。

清 一夫妻が晩年を過ごした神戸市灘区篠原本町の借家の小さな庭に、彼はさまざまな庭木や草花を所狭しと植えていました。その中でも、彼がもっとも好きだった のが南京はぜで、毎年見事に紅葉するのを妻の八千代とともに心待ちにしていました。彼が1967年に親友に送った季節の便りの中に「南京はぜの紅葉」(図2) を描いたものがあり、また、彼が亡き妻への鎮魂のために1974年に描いた作品 「篠原本町の庭」(2002年10月号) にも、鮮やかに色づいた南京はぜが描かれています。


▲図2. 鈴木清一作「南京はぜの紅葉」 (1967年)
水彩・はがき、個人蔵

一方、菊の花については、このページでも「小菊」(2003年1月号) 「小菊」(2006年10月号) でご紹介したように、清一がもっとも頻繁に描いた花でした。彼が好んだのは、もっぱら観賞用や品評会用に栽培される人工的な大菊ではなく、どこにでもある 野生の小菊だったところが、いかにも自然派の彼らしいところです。この点でも清一と八千代とは似た者夫婦でした。大病を患った彼女が病床で次のような歌を 詠んでいるのです。

  願わくば秋草しげる高原の微風にそよぐ花とならまし  八千代

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