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2010年11月号
第10巻 第11号 (通巻第111号)

青い皿と柘榴 (1948年)



鈴木清一作「青い皿と柘榴」

▲鈴木清一作「青い皿と柘榴」(1948年)
油彩・木板、31.8x40.9cm、個人蔵(京都府)

 


朱色に熟したザクロが2つ、青い皿の上に載っています。この絵が描かれている木板の裏には「昭和23年5月28日、清一」と墨書されています。あの苦しかった戦争が終わって3年足らず、清一一家の生活が最も苦しかった時期に描かれた作品です。何の変哲もない平凡な絵に見えるかも知れませんが、当時の我が家の状況を思い浮かべると、わたしはこの小品に何とも言えない温もりを感じます。

戦後間もなく、清一は神戸の親和女子商業学校と西宮の甲陽学院中学部に美術教師の職を得ましたが、いずれも長続きはしませんでした。彼は戦時中、大政翼賛会の活動に関わっていたために、公職追放該当者に指定され、教職からも去ることを求められたからでした。その後の彼は、戦前からの友人が経営する絵具メーカー主催の手芸講習会の講師や、ドレスメーカー学院の講師、あるいは知人宅に集まる日曜画家を指導するなど、妻と5人の子供を養うために懸命に働き続けました。「青い皿と柘榴」はこのような時期に描かれ、女子校美術教師時代の同僚の一人に贈られました。外で働きづめだった彼も、自宅に戻ると、寸暇を惜しむように絵筆を揮って気分転換を図っていたのでしょう。

 

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