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2010年12月号
第10巻 第12号 (通巻第112号)

花 (1979年)



鈴木清一作 『花』

▲鈴木清一作「花」(1979年)
油彩・カンヴァス、72.7x60.6cm(推定)、行方不明

 


清一は身近かな小菊を繰り返しモチーフに取り上げており、このサイトでもすでに『小菊』(2003年1月号)『小菊』(2006年10月号)をご紹介したことがあります。今月はこれらの小菊の絵の中で、最後に描かれた作品をご紹介することにします。作者が「花」という画題を付けたこの作品は、清一が戦前・戦中から戦後にかけての半世紀にも及ぶ長期間、講師を務めた絵画同好会・木曜会の母体である三菱重工神戸造船所に『早春の六甲』(2003年2月号)と共に贈ったものです。人生の黄昏を迎えた彼が第2の故郷・神戸での思い出として残した贈り物だったのでしょう。

作品の寄贈を受けた当時の神戸造船所長から、脳血栓で病床にあった清一に宛てた1979年10月8日付の感謝状が筆者の手元に残っているので、ご紹介しておくことにいたします。なお、文中にある鬼塚貫一氏は木曜会創設者の一人で、清一の親友でもありました。詳しくは『鬼塚貫一氏像』(2004年4月号)をご覧下さい。

拝啓 爽やかな季節を迎えましたが如何お過ごしでございましょうか、お見舞い申し上げます。平素は弊社文化活動に対し何かとご指導を賜り深謝申し上げます。

さて、先日は先生御力作の絵画2点を鬼塚貫一様を通じご恵贈賜り、御芳志の程、誠に有難く厚くお礼申し上げます。いただきました絵画は11月中旬、弊所和田クラブに於て開催の「秋の美術展」にて弊所社員・家族等に披露させていただきました後、「早春の山」は弊所応接室に「花」は和田クラブにそれぞれ飾り、永く鑑賞させていただく所存でございます。

末筆ながら先生の速やかな御回復と今後一層の御活躍をお祈り申し上げます。先ずは書中をもって延引ながら御厚礼申し上げます。

敬具

10月8日

三菱重工業株式会社
取締役神戸造船所長
国村信明

鈴木清一様

清一が世を去って3年後の1982年8月に、神戸三宮のギャラリーさんちかで「木曜会創立50周年記念展並びに故・鈴木清一画伯回顧展」(http://www.mokuyokai.com/ から『展示室』にお進み下さい)が開催され、ここに清一の「花」と「早春の山」など6点の作品が展示されました。「花」は残念ながら現在行方不明になっているので、カンヴァスの大きさを確かめることができないのですが、ギャラリーさんちかで見た記憶では「花」は「早春の山」より少し小さかったように思います。「早春の山」のカンヴァスがF30であることは確かなので、おそらく「花」はF20のカンヴァスに描かれていたのでしょう。

  

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