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2011年3月号
第12巻 第3号 (通巻第115号)

おひな様 (1954-5年頃)




今月ご紹介するのは、清一が木曜会創設者の一人・丸山芳夫氏のご遺族に贈った立ち雛を描いた可愛らしい作品です(図1および図2)。

鈴木清一作『おひな様』

▲図1. 鈴木清一作『おひな様』(1954〜5年頃)
水彩・紙、42.0x50.0cm、個人蔵(新潟県)

作品の写真とともに、ご遺族からいただいた手紙には次のように書かれています。

「・・・鈴木先生のことを思うと頭いっぱい、胸いっぱいに次々と思い出が沸き上がってきます。丸山の両親は二人とも故郷を離れて神戸住まい。親類のような近い関係のお付き合いのない生活でした。あの頃の先生は私にとって両親の次に近い方でした。小学校4年頃から可愛がっていただきました ・・・ これは私の宝物です。昭和29〜30年頃、再び神戸住いをはじめた実家の丸山を訪ねた帰り、夜行列車で帰宅したのですね。その時、[鈴木]先生がこの半切を持って神戸駅まで見送りにきて下さったのです。娘3人生まれても、父と死別し戦災にあって戦後の生活を頑張っていた母(実家)からは、おひな様を贈ってもらうどころでなかったときに、いただいたこのおひな様はありがたくてありがたくて。15年位経ってやっと表装して、3月のお節句には飾って喜んでおります。私の宝物です ・・・」

表装された「おひな様」

▲図2. 表装された『おひな様』 個人蔵(新潟県)

この絵の下絵と思われる作品が残っています(図3)。この絵に清一は何やら書き込みをしています。万葉仮名で書かれているので少し読みにくいのですが、

はるのそのくれなゐにほふもものはな したてるみちにいてたつをとめ
(春の苑紅匂う桃の花 下照る道に出立つ乙女)

これは万葉集の中にある大伴家持の有名な一首です(巻19-4139)。清一は紙雛にこの歌をイメージしたのでしょう。


▲図3. 鈴木清一作『おひな様』 (1944〜5年頃)
水彩・紙、38.4x27.2cm、筆者蔵

 

  

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